|
平戸島の最高所を縦走するように通る峠。出典の著者は海岸線を通るより何倍も大変なこの路が古くから使われていたということに疑問を呈するが、本来は木引町(古江湾)と大山町(千里ヶ浜)をつなぐ南北の路だったのではないか。
峠には「塩上げ石」という岩がある。今から650年ほど前に、毎日この峠を越えて塩を売っていた行商の男があった。ある時この岩に塩を供え、南方にある霊峰・安満岳の権現様に手を合わせ、将来の成功を祈願した。願いが叶ったのか、のちに大きく出世して大渡長者と呼ばれるほどになり、時の平戸藩主に土地を献上できるほどになったという。(「九州の峠」)